国民の健康志向の強まりとともに、乳幼児から成人、高齢者にいたるまで国民の食への関心が高まり、健康食品、過食・拒食、生活習慣病等との関連、さらにはカロリー、栄養素など食に関する情報が世の中に氾濫しつつあります。この食も、体内に消化吸収されてはじめてその役割を果たすことから、食を考えることは消化吸収を考えることと同等です。
消化吸収は、人間にとって、また動物にとって生命を維持する上で必要欠くべからざるもので、もっとも原始的な生態機能です。栄養素の過剰摂取や不足は、全身の免疫機能に影響を及ぼすことはよく知られている事実です。食つまり消化吸収は、人々の成長及び精神、健康を考えるうえできわめて重要な学問分野です。医学においても、基礎から臨床まで広範に深くかかわり、きわめて深淵な学問研究の分野となっています。
消化吸収研究会は、故・日野貞雄博士のご提唱によって、各種の消化吸収障害に対する診断と治療などについて、消化吸収試験をはじめ小腸の機能また病理形態や、臨床検査法などを再検討するとともに、これらの進歩によって、この方面の診断と治療の向上に寄与せんとすることを目的として、同好者の集まりとして昭和45年に発足し、第1回研究会が昭和45年11月21日、東京(東京ヒルトンホテル)において、名尾良憲先生を世話人して開催されました。この研究会への参加希望者が年々増加したことにより、順次門戸を開き、昭和53年にはオープンとして開催し活発な議論が繰り広げられるようになりました。そして、その研究会の席上、そして、第9回以降は機関誌『消化と吸収』を毎年1回発行し研究会における講演内容を順次収蔵し、情報の共有に努めてまいりました。
その後、回を重ねるごとに盛会となったことから、昭和59年7月21日の第15回研究会の開催の折り(世話人・井上幹夫教授)、消化吸収に関する世界で初めての学会へと改組するに至りました。その後も会員数も増加を続け、学会総会における発表数も増加し、学会誌『消化と吸収』の発行も年3巻となり、学会活動がますます活発になっています。
消化吸収研究会の発足から昨年度で記念すべき第40回の日本消化吸収学会総会を開催したことを契機に、日本消化吸収学会のさらなる発展を目指し、消化吸収に係る障害に対する研究の充実を図ることで、国民の関心事であるよりよい生活を送る上で必須の健康増進と福祉に寄与するため、ここに特定非営利活動法人日本消化吸収学会を設立します。
平成22年1月29日
荒川 泰行
理事長 | 中村光男 |
会員数 | 700人 |
機関誌 | 「消化と吸収」(年3回刊) |
法人格 | 特定非営利活動法人 |
設立年 | 昭和45年 |
学術集会 | 年1回総会 |
認定医制度 | なし |